ここでは、金利が上昇局面に入った場合、早めに借りた方がいいか、あるいは頭金をしっかり貯めた方がいいか・・・その判断を見極めるためのシミュレーションを紹介します。いざという時のために頭の片隅にとどめておいていただければと思います。
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金利上昇期の住宅取得のタイミングは?
住宅ローン金利が上昇トレンドを示した場合、住宅購入を控えている方はどのように対応すべきでしょうか。
もう少し先にと考えていたマイホーム購入を前倒ししたほうが良いのか?それとも頭金をできる限り貯めながら様子を静観した方がよいのでしょうか?
今後の住宅ローンの金利上昇を決定付ける根拠はないのですが、上昇の先行き感は常にぬぐえないものです。
そんな中、長期固定型金利を検討している方にとっては、住宅ローンを早めに借りた方がいいのか、金利の状況を見ながら、頭金を貯めて少しでも借入元金を減らした方がいいのかという問題が出てきます。これ以上は下がらないというほどの低金利時代であればなおさらです。
頭金を貯めるとどの程度返済利息額が縮減できるか?
住宅ローンを借りるときは、頭金を多めに用意して借入額をなるべく少なくするのがよいとされています。まず、頭金を貯めていった場合の総返済利息についてみてみましょう。(ケース1)
借入金3,000万円、償還期間35年、現在金利2.2%としたとき、金利が5年間変わらないとすれば、頭金を貯めれば貯めるほど、当然借入元金が減るので総返済利息額は減少します。毎年100万円を貯蓄できたとして、5年後500万円の頭金を貯めたとすると、総返済利息額は387万円も縮減できることになります。
頭金を貯めても意味がなくなる金利上昇率は?
しかし、金利上昇期には、頭金を貯めているうちに金利が上がってしまい、頭金を貯めた効果がなくなってしまうケースも考えられるのです。では、どのくらいの金利上昇率で効果がなくなるかをケース2で見てみましょう。
ケース1と同じ条件で金利だけが毎年0.16%上昇した場合、5年後500万円の頭金を確保したとしても、返済利息がほとんど変わらないことがわかります。
これでは、頭金を貯めた意味が、まったくなくなってしまいます。これなら、最初から頭金なしでローンを組んでおけばよかったとなってしまいます。
頭金を貯める方が返済利息が増える場合
さらに、金利が約2倍の上昇率で増加した時はどうなるでしょう。毎年0.3%ずつ上昇した場合をケース3で見てみましょう。
なんと、5年で頭金を500万円貯めて借入元金を減らしても、金利上昇による利息増加が上回り、当初借り入れるよりも338万円も増加してしまうのです。利息負担を減らすために頭金を貯めているのに、これでは、何のための貯金かわからなくなってしまいます。
これは、あくまで参考データですので、このようなこともありうるという理解でよいかと思います。
最近は頭金なしで住宅ローンが組めるようになったことから、住宅を取得するタイミングの選択に幅が出てきました。その住宅取得のタイミングを決定する際の判断の目安として、以下のページも参考にしていただければと思います。
・頭金を貯めるべきか、今すぐ住宅ローンを組むべきかーライフプラン比較
・頭金の差による返済額への影響―頭金100万円当たりの利息負担の比較
ちなみに住宅ローンの金利は建物が完成して引き渡しを受ける時点の融資実行時に決まるケースが大半です。未完成マンションなどで建物の完成が1~2年先になるケースでは、今より金利が上がっている可能性もあるので、そのようなことも考慮に入れた余裕のある資金計画が望まれます。