子育てエコホーム支援事業2024の解説

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ここでは、2024年に本格実施となる省エネ住宅への補助金制度:子育てエコホーム支援事業について、全体概要、補助要件など、ポイントを絞ってわかりやすく紹介します。

子育てエコホーム支援事業の概要

まずは、基本的な制度内容を確認しましょう。

主な要件と補助額

子育てエコホーム支援事業の主な要件と補助額(新築)

この子育てエコホーム支援事業は、こどもエコすまい支援事業に引き続き、2024年から本格実施となる補助制度です。

今回も、補助の対象者は、主な住宅取得層である子育て・若者世帯となります。

住宅の要件は、前回同様ZEHレベルの住宅となり、補助額は一律80万円/戸(長期優良住宅の場合は100万円/戸)となっています。

なお、主に若者向けというイメージですが、40代、50代の世帯であっても、18歳未満のお子さんがいる場合は補助の対象となりますので、お間違いのないように。子育て、若者夫婦世帯の詳細については後述します。

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スケジュール

スケジュールの概略は以下のとおりです。補助対象となるのは、令和5年11月2日以降に対象工事に着手し、令和6年中に交付申請する住宅が対象となります。(対象工事:基礎工事より後の工事)

子育てエコホーム支援事業スケジュール(新築)

スケジュールは前倒し・変更となる場合があります。最新の情報は以下よりご確認ください。
子育てエコホーム支援事業事務局-国土交通省

補助制度の要件

次に、より詳しく補助の要件について解説します。

補助の対象者

補助の対象となる子育て世帯、若者夫婦世帯の定義は次の通りです。次のいずれかの世帯に該当することが要件となります。

子育て世帯
子育て世帯とは、申請時点において、子(※)を有する世帯をいいます。
※子は令和5年4月1日時点で18歳未満(→平成17(2005)年4月2日以降出生の子) ただし、令和6年3月末までに工事着手を行う場合においては、令和4年4月1日時点で18歳未満(→平成16(2004)年4月2日以降出生の子)
若者夫婦世帯
若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦(※)である世帯をいいます。
令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下(昭和58(1983)年4月2日以降出生)であること。ただし、令和6年3月末までに工事着手を行う場合においては、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下(昭和57(1982)年4月2日以降出生)であること。

年齢要件が複雑ですが、かんたんにいうと、「小さなお子さんがいるなら対象」。お子さんがいない場合は、「夫婦のいずれかが39歳以下なら対象」と理解するとよいでしょう。

子の年齢が18才を過ぎたばかり、又は夫婦のどちらも40歳以上で、いずれかが40歳を過ぎたばかりという方のみ、上の年齢要件を確認するとよいでしょう。

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補助対象となる住宅取得および期限

補助の対象となる住宅取得のタイプは、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」のいずれかとなります。

中古住宅や、完成から1年以上経過した未使用住宅の購入は、補助対象外となるのでご注意ください。

事業のタイプ、期限
補助対象事業のタイプ

子育て世帯又は若者夫婦世帯が、自ら居住するために行う、次のいずれかの住宅取得

・注文住宅の新築
 工事請負契約を結ばない工事は対象外

・新築分譲住宅の購入
 以下の全てを満たす分譲住宅が対象 ・売買契約締結時点で、完成から1年以内 ・人の居住の用に供したことのないもの ・宅地建物取引業免許事業者からの購入

契約期限 契約日は問わない
工事着工

令和5年11月2日以降に対象工事に着手
対象工事:基礎工事より後の工程の工事

交付申請期限 令和6年3月中下旬~予算上限に達するまで(遅くとも令和6年12月31日まで)
※ 申請時点で補助額以上の工事の出来高が必要です。申請の締め切りは、予算の執行状況に応じて公表されます。
工事完了期限 以下の期限までに住宅の引渡しと入居を行い、完了報告を提出
戸建住宅 : 令和7年7月31日
共同住宅等で階数が10以下
令和8年4月30日
共同住宅等で階数が11以上
令和9年2月28日

補助対象となる工事期間について

■いつから工事を行えばよいのか

補助対象となる住宅は、令和5年11月2日(補正予算案閣議決定日)以降に対象工事に着手した住宅が対象です。契約の時期は問われません。対象工事とは、基礎工事より後の工程の工事をいい、地上階の柱や壁を建てる工事を指します。

(すでに契約や基礎工事を行っていたとしても、令和5年11月2日時点で、柱や壁を建てる工事に着手していないものは補助対象となり得ます。)

■いつまで工事を完了すればよいのか

戸建住宅の場合、令和7年7月31日までに完了引渡しの上、完了報告を提出する必要があります。

ただし、この完了期限だけを守ればよいわけではなく、交付申請期限にあわせたスケジュール調整も必要となってきます。

つまり、交付申請期限は遅くとも令和6年12月31日となっているのですが、その期限が予算の執行状況に応じて、前倒しされる可能性があること、さらに、交付申請をする時点で工事が補助額以上の出来高(例:基礎工事の完了)に達している必要があるため、これらに注意して工事着手の時期を早めに考えておく必要があります。

一定期間の予算確保ができる予約申請も可能なので、これを利用しながら補助のスケジュールにしっかりとマッチした工事スケジュールを業者さんに考えてもらいましょう。

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補助対象の住宅性能および補助額

補助の対象となる住宅性能、補助額は次の通りです。

■住宅の性能要件および補助額

補助対象住宅(※1) 性能要件 補助額(※2) 住戸の延べ面積

長期優良住宅
認定長期優良住宅 長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁(都道府県、市区町村等)にて認定を受けたもの 100万円/戸 50㎡
以上240㎡以下(※3)

ZEH住宅
・ZEH
・Nearly ZEH
・ZEH Ready
・ZEH Oriented
・認定低炭素建築物・性能向上計画認定住宅
強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅 80万円/戸
注: 認定住宅は2022(R4)年10月1日以降に申請した住宅※1 土砂災害特別警戒区域など、立地により補助対象外となる場合があります※2 市街化調整区域内の土砂災害警戒区域など、立地場所により補助額が1/2となります※3 認定長期優良住宅は別途床面積基準があります

上表に掲載の①長期優良住宅と②ZEH住宅が補助の対象となります。ZEHと認定住宅の一般的な内容については後段でかんたんに解説します。

この補助制度でいう②ZEH住宅とは、上表の強化外皮基準と一次エネルギー消費量削減を満たす住宅をいい、具体的には、ZEH、Nearly ZEH、認定低炭素住宅…などを指します。

強化外皮基準とは、屋根・外壁・窓などの断熱性能の基準をいい、高性能な断熱材・窓を用いた高い遮熱性を確保するための基準です。

一方、20%以上の一次エネルギー消費量削減とは、照明・暖房・給湯といった設備を高効率なものとし、強化外皮の効果とあわせて、従来比よりも20%以上消費エネルギーを減らすことを指します。

これらはいずれも、ZEH及び認定住宅に求められる基本性能となります。

次に、ZEHと認定住宅について、もう少し詳しく解説します。

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ZEHとは

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:通称ゼッチ)とは、ごくかんたんに言うと、「省エネ性能が高く、使うエネルギーと創るエネルギーがほぼ同じになる住宅」をいいます。エネルギー収支が0ということです。

ZEHのイメージ

もう少し具体的に説明すると、

  • 屋根・外壁・窓の断熱性能を高くする
  • 暖房や給湯などの設備は燃費の良いものを使用
  • 太陽光発電などで再生可能エネルギーを創る

これらによって、消費するエネルギーを従来から20%以上減らし、さらに、消費量と同じ分のエネルギーを発電などで補うことができる住宅をいいます。

ZEHにはいろいろと種類がある

なお、ZEHには複数の種類があり、太陽光発電などの再生エネルギーの創出能力の違いによって、複数のZEH(ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented)が定められています。

例えば、消費エネルギーと同じ分(100%)のエネルギーを生み出すZEHに対し、種々の制約から100%は無理だが、75%以上は生み出せるものをNearly ZEHと定義する…というイメージです。

かんたんにそれぞれのZEHの違いを比較してみます。

■各ZEHの比較

ZEHの名称 基本性能 エネルギー削減率 その他
ZEH 強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅 100%
Nearly ZEH 75%
ZEH Ready 50% 共同住宅
ZEH Oriented
再生エネ設備未導入可能
都市部狭小地、多雪区域に限る

原則すべてのZEHが補助対象

この補助制度では、一部の例外を除き原則として上記のZEH全てが補助の対象となります。つまり、強化外皮(高い断熱性能)と、一次エネルギー消費量20%削減が補助の要件であるため、必ずしも発電等によって100%まかなう必要はないということです。

なお、補助を受けるには、各ZEHに適合することのBELS 評価書(ZEH マーク又はZEH-M マークが表記されたもの)をBELS 登録機関により取得する必要があります。

一次エネルギーとは

一次エネルギーとは原油などの原料となるエネルギーをいいます。原料から加工されたガスや灯油、電気などの二次エネルギーは、単位が異なっているため、共通の単位でエネルギーの量を評価するために、一次エネルギー(単位:Jジュール)までさかのぼって単位変換します。

②認定住宅とは

次に認定住宅について、かんたんに解説します。

認定長期優良住宅とは
長期優良住宅とは、耐震性、省エネルギー性、劣化対策、維持管理容易性などに優れた、長く安心して暮らせる住宅の基準に達しているとして、建設地を所管する行政庁に認定された住宅をいいます。
認定低炭素建築物・性能向上計画認定住宅とは

高い断熱性を備え、高効率な設備の導入などの措置が講じられた省エネルギー性能に優れた住宅の基準などに達しているとして、それぞれの法律に基づき、建設地を所管する行政庁に認定された住宅をいいます。

補助を受けるには、それぞれの認定通知書が必要です。なお、2022(R4)年10月1日以降の新基準で認定される必要があります。

(参考)住宅性能の比較

認定住宅の違いがよくわからない…という方のために、それぞれの性能やメリットの違いを比較表にまとめましたので、ご参考ください。

■各住宅性能の比較

長期優良住宅 低炭素住宅 ZEH 性能向上計画認定住宅 省エネ基準適合住宅 ※1 一般住宅
断熱等性能等級 等級相当 等級相当
一次エネ消費量等級 等級相当
(一次エネルギー消費量が省エネ基準から20%削減 ※2
等級相当
その他必要な措置 劣化対策等級3、耐震等級(当面の間3)、維持管理対策等級3、床面積(原則、戸建75㎡以上)など 太陽光発電設備等の導入、低炭素化措置
(節水,木造,HEMS,緑化などから選択導入)
太陽光発電等を加味し、一次エネルギー消費量が省エネ基準から 100%以上削減
建設地の条件 市街化区域
用途地域指定区域
住宅ローン控除対象借入限度額 5,000万円 4,500万円 4,000万円 3,000万円
税の優遇 投資型減税 ※3
登録免許税
不動産取得税
固定資産税
フラット35S 当初10年間金利△0.25% 当初5年間金利△0.5%
6~10年目金利△0.25%
当初10年間金利△0.25%
容積率緩和
(一定の敷地面積を有し特定行政庁の許可を受けた場合に緩和)
低炭素化に資する設備にかかる床面積(延べ面積の1/20限度) 省エネ性向上のための設備にかかる床面積(延べ面積の1/10限度)
※1:2024(R6)年4月に義務化が予定されている性能。※2:太陽光発電によるエネルギー消費量の削減は見込まない※3:住宅ローンを利用しなくても所得税控除が受けられる投資型減税の利用が可能です。

この補助制度の要件である、強化外皮基準20%以上の一次エネルギー消費量削減は、住宅性能表示制度の等級で表すと、それぞれ、断熱等性能等級5一次エネルギー消費性能等級6相当ということになります。

エネルギー消費性能の比較

次に、一次エネルギー消費性能のレベルで各住宅性能を比べてみましょう。

以前は、住宅の省エネ性能の評価は、断熱性能の仕様基準が中心でしたが、近年は、その「断熱性能」に加え、「一次エネルギー消費性能」…いわゆる建物の燃費とセットで評価する仕組みとなっています。

省エネ性能をマークの数で表示している住宅会社の資料などをご覧になった方もいると思いますが、各住宅性能がどのランクにあるのかを整理したのが次の表です。

■一次エネルギー消費性能の比較

BELS※1
エネルギー削減率
BEI 一次エネルギ-消費量等級 住宅性能
☆☆☆☆☆
20%以上
0.8以下 等級6 ZEH
Nearly ZEH
ZEH Ready
ZEH Oriented

認定長期優良住宅,認定低炭素建築物,
性能向上計画認定住宅
☆☆☆☆
15%以上
0.8
~0.85
等級5
☆☆☆
10%以上
0.85
~0.9
☆☆
0%
0.9
~1.0
等級4 省エネ基準適合住宅(2024(R6)年4月義務化予定の性能)

-10%
1.0
~1.1
等級1
※1 BELS(ベルス)とは、建築物省エネルギー性能表示制度のことで、省エネ性能を第三者評価機関が評価し認定する制度です。エネルギー削減率に応じて5段階の星マークで表示されます。

認定住宅やZEHの燃費の良さは最高クラス(☆☆☆☆☆)ということになります。現在は普及途上ですが、近い将来はこのレベルがスタンダードになっていくことが見込まれています。

10年後の当たり前となる省エネ性能を、今のうちから備えたいという方は、こうした補助制度の活用を検討されるとよいでしょう。

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手続きはどのように行うの?

この事業は、工事施工業者、住宅販売会社が補助事業者となり申請を行います。よって、住宅取得者となる方の申請手続きは基本的にありません。

なお、補助金は、補助事業者が受領することになり、最終的に住宅の取得者に還元されます。

事業全体の流れは、次の通りです。

申請フロー

STEP
工事請負契約・売買契約
事業者登録
STEP
工事着手
令和5年11月2日以降に、基礎工事より後の工程の工事に着手。
STEP
交付申請
申請時点で補助額以上の工事の出来高(基礎工事の完了など)が必要です。
STEP
交付決定、補助金交付
STEP
完成・引渡し・入居
補助金を住宅取得者に還元。
STEP
完了報告

他の補助金の併用について

原則として、本事業と補助対象が重複する、以下のような国の他の補助制度との併用はできません。
例)こどもエコすまい支援事業、地域型住宅グリーン化事業、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業

また、国の費用が充当されている地方公共団体の補助制度についても、原則、併用はできませんのでご注意ください。

Q&A

制度をより深く理解できるよう、注意点、ポイントなどをQ&A形式にまとめました。
よくある質問コーナー

子育て世帯、若者夫婦世帯ではないのですが、新築の補助金はもらえますか?
いいえ、補助は受けられません。新築の補助については、子育て世帯、または、若者夫婦世帯であることが必須要件となります。なお、こどもエコすまい支援事業(リフォーム)については、世帯の種類は問われません。
子育て世帯、若者夫婦世帯のどちらにも該当する場合、補助金は加算されるのですか?
いいえ。子育て世帯、または、若者夫婦世帯のどちらかに該当することが要件とされているだけであり、加算はありません。
若者夫婦世帯は、夫婦のどちらも40才未満でなければいけませんか?
いいえ。夫婦のいずれかが40才未満であれば、若者夫婦世帯となります。
若者夫婦世帯は、子供がいなくても対象ですか?
はい、対象となります。
夫婦どちらも50才を超えていますが、17才の子がいます。対象ですか?
はい、子育て世帯として対象となります。
中古住宅の購入で補助金はもらえますか?
いいえ。中古住宅の購入は補助の対象外です。なお、購入する中古住宅の省エネリフォームを行う場合は、子育てエコホーム支援事業(リフォーム)の利用が可能です。

子育て世帯、または若者夫婦世帯が中古住宅購入と同時にこのリフォームを行い、所定の要件を満たす場合、上限補助額が60万円に引き上げられますので、ご参考ください。

事業者に指定はあるの?
一部の限られた事業者である必要はありませんが、交付申請の前に補助事務局への事業者登録を行った事業者である必要があります。

なお、すでに事業者登録を行っている事業者は、事務局HPで調べることができます。(公表を希望する事業者のみ)

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事業の詳細リンク

事業の詳細については以下をご覧ください。
子育てエコホーム支援事業事務局-国土交通省子育てエコホーム支援事業について-国土交通省

まとめ

この補助制度のポイントをかんたんにまとめます。

制度のポイント

  • 補助対象者は若者夫婦、または子育て世帯
  • ZEH、認定住宅で80万円、長期優良住宅は100万円
  • 戸建住宅は、2024(令和6)年12月31日(予定)までに交付申請、2025(令和7)年7月31日までに完了報告


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