このページは2019年度(令和元年度)についての情報になります。
↓ 2020(令和2年度)断熱リノベ補助金については以下をご覧ください。
断熱リノベと次世代建材事業は、住宅に高性能な断熱材や窓等を用いた断熱改修を行うことにより、一定の要件を満たす場合に国の補助金が交付されるものです。2020年度も引き続き実施される断熱リノベと次世代建材の2つの補助制度について、要点をわかりやすく解説します。
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この事業は、住宅に高性能な断熱材や窓等を用いた断熱改修を行うことにより、一定の要件を満たす場合に国の補助金が交付されるものです。今年度も引き続き実施される断熱リノベと次世代建材の2つの補助制度について、その概要を説明します。
補助事業全体概要
まず、2つの事業全体の概略とスケジュールについて見てみます。
誰がもらえるの?
■補助の対象者(申請者)
住宅区分 | 断熱リノベ (高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業) |
次世代建材 (次世代省エネ建材支援事業) |
|
---|---|---|---|
戸建住宅 | 個人の住宅(※)所有者又は所有予定者 |
|
|
集合住宅 | 個別改修 | ||
全戸改修 | 管理組合の代表者 | ||
※住宅:申請者が常時居住するための専用住宅 |
どのようなリフォームが補助対象なの?
補助対象となる工事
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要件のポイント
要件の適用判断に当たっての要所、注意点などについて紹介します。
<断熱リノベ>
断熱リノベについては、高性能建材による断熱リフォームによって一定の省エネネ効果(15%以上)が見込まれるある必要があります。この15%以上が達成されたかどうかの判定は、断熱リフォーム部分の床面積の割合から早見表により簡便に確認できるので、複雑なエネルギー計算の必要はありません。(早見表が使えないケースの場合は、エネルギー計算によって確認。)
なお、今年度より窓のみの改修も補助対象となり、補助申請の選択肢が増えました。
一方、家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備の補助については、いくつか注意点がありますので、以下をご参照ください。
■家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備について
家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備への補助は、高性能建材による断熱リフォームとは別に補助されますが、戸建住宅のみが対象となっており、これに対する補助額は、高性能建材の補助金額以下である必要があります。
つまり、家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備は断熱改修と同時に導入・改修する場合のみ補助対象となり、設備単体で導入・改修をする場合は補助対象外となります。
また、家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備を導入する場合は、太陽光発電システム等の再生可能エネルギー・システム(10kW未満)が設置されている必要があり、補助対象となる申請者は2020年3月末までにFITの契約が終了する方となります。(FIT:固定価格買取制度)
<次世代建材>
次世代建材については、室内側からの施工が可能な高断熱パネル、潜熱蓄熱建材、調湿建材等を用いるため、住みながら短期間で施工できるのが特徴です。また、最低改修率の要件がないため、住宅の一部の改修でも補助対象とできるのがポイントです。以下の改修イメージを参照。
図:平成31年度 次世代省エネ建材支援事業パンフレット(一般社団法人環境共創イニシアチブ)より
なお、高断熱パネル、潜熱蓄熱建材はいずれかの導入が必須となっており、窓、断熱材、玄関ドア、ガラス、調湿建材は必須製品と同時に導入した場合のみ補助対象となることに注意しましょう。
いずれも、材料や設備については、自由に選択できるものではなく、SIIに登録されている製品であるなどの要件の指定がありますので注意しましょう。
※SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ
補助額は?
各補助事業の補助率、補助上限額は以下の通りです。
■補助率、補助上限額
断熱リノベ (高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業) |
次世代建材 (次世代省エネ建材支援事業) |
|
---|---|---|
補助率・上限額 |
補助対象費用の <上限額>
家庭用蓄電システム、家庭用蓄熱設備:別途補助(下記参照) |
補助対象費用の <上限額>
|
リフォーム会社の指定はあるの?
指定はありません。あらかじめ採択や登録などにより補助事業が行える工事業者が決まっている、また、その中から選択しなければならないといったルールはありません。
スケジュール
申請期間等は以下の通りです。ご自身の計画に沿うかどうか参考にしてください。
各事業の詳細情報(リンク)
平成31年度 高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
平成31年度 次世代省エネ建材支援事業(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
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断熱リノベ(高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業)の概要(個人所有・戸建て住宅)
次に、2つの事業それぞれについてもう少し詳しく説明します。なお、この補助金は、戸建住宅だけではなく、マンション、アパートなどの集合住宅の申請も可能となっていますが、断熱リノベについては、これ以降、個人所有の戸建て住宅に絞って説明します。
まず、断熱リノベ(高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業)について説明します。
補助金額
断熱リノベの補助率、及び補助限度額は以下となります。
■断熱リノベ 補助率・上限額(戸建て住宅)
補助対象製品 | 補助率等 | 補助金の上限額 | |
---|---|---|---|
①高性能建材(ガラス・窓・断熱材) | 補助対象経費の1/3以内 | 120万円/戸または40万円/戸(※1) | |
②家庭用蓄電システム | 設備費 | 2万円/kwh | 補助対象経費の1/3または 20万円のいずれか低い金額 |
工事費 | 補助対象経費の1/3以内 | 5万円/台 | |
③家庭用蓄熱設備 | 補助対象経費の1/3以内 | 5万円/台 | |
※1:戸建住宅において窓のみを改修した場合は40万円/戸 |
なお、②家庭用蓄電システム、③家庭用蓄熱設備の導入・改修に係る補助金額の合計は、①高性能建材の補助金額とは別途補助となりますが、①高性能建材の補助金額の合計以下となります。
補助対象製品
断熱リノベの補助対象となる製品は、SIIが定める要件を満たし、SIIに登録されている製品であるなど、公募要領に定める要件を満たす未使用品である必要があります。
補助対象製品一覧、公募要領はSIIホームページから確認することができます。
補助対象費用
断熱リノベの補助金の交付対象となる経費は、以下のとおりです。
■補助対象経費(断熱リノベ)
- 高性能建材の購入経費及び必要な工事に要する経費
- 家庭用蓄電システム、家庭用蓄熱設備の購入経費及び必要な工事に要する経費
補助要件
断熱リノベの補助事業の要件は、以下の通りです。
■補助要件(断熱リノベ)
- 補助対象製品を用い、事業要件の詳細に従った既存住宅の断熱改修を行う。
- 補助事業に係る建物本体(各部位の解体、仮設足場等を含む)の工事は、本事業の交付決定通知書に記載する交付決定通知日以降に契約・工事着工する。
- 完了実績報告書を提出期限内に提出する。
など・・
「事業要件の詳細」では、具体的な改修方法、確保すべき省エネ性能などの基準が示されており、これに従って断熱改修を行うことが必要になります。
単純に断熱改修をすればいいというわけではなく、決まった材料を用い、決まった改修条件を守り、決まった省エネ性能を確保することが必要になります。さらに事前着工は補助対象外ということです。
なお、ここで「事業要件の詳細」に示されている「戸建住宅の改修」の基準の内、要点について列挙します。
戸建住宅の改修 抜粋
- 改修する部位は、「エネルギー計算結果早見表」から選択し、地域区分毎の延べ床面積に対する一定割合以上の最低改修率を満たすこと。
- 居間又は主たる居室(就寝を除き日常生活上在室時間が長い居室等)を中心に改修すること。
- 導入する断熱材及び窓・ガラスは、原則、改修する居室等の外気に接する部分全てに設置・施工すること。(断熱材及び窓を改修する場合は、原則、外気に接する部分のみ補助対象。)
- 天井を改修する場合は、屋根の直下の天井、及び外気に接する天井の全て(バルコニー・下屋等で改修が困難な部分を除く(最大15%まで))を改修すること。
- 窓の改修工法は、外窓の交換・カバー工法、内窓の取り付け、ガラスの改修工法はガラスの交換とする。
審査・選考
学識経験者を含む関係分野の専門家で構成された審査委員会で定められた審査基準に基づき、申請のあった事業について到着順に審査を行い、随時採択します。
ただし、補助事業公募期間内であっても住宅区分ごとの予算に達した日の前日を以って公募を終了し、予算に達した日以降に到着した申請分は原則受付不可なので注意が必要です。
次世代建材 (次世代省エネ建材支援事業)の概要
次に、次世代建材(次世代省エネ建材支援事業)の概要について説明します。
補助金額
次世代建材の補助率、及び補助限度額は以下となります。
次世代建材 補助率・上限額等 | |
---|---|
補助率等 | 補助対象経費の1/2以内 |
補助金の上限額 | 200万円/戸 |
補助金の下限額 | 20万円/戸 |
補助対象経費について | 補助対象経費の合計は1住戸当たり40万円以上であること。 |
補助対象製品
次世代建材の補助対象となる製品は、以下に掲げるもので、SIIが定める要件を満たし、SIIに登録されている未使用品である必要があります。
■補助対象製品(次世代建材)
- ① 断熱パネル
- ② 潜熱蓄熱建材
- ③ 断熱材、窓、玄関ドア、ガラス、調湿建材(①または②と同時に導入する場合に限り補助対象となります。)
補助対象製品一覧はSIIホームページから確認することができます。
補助対象費用
次世代建材の補助金交付対象となる経費は、上記の①・②・③に該当する材料費とこれら製品の取付のための工事費となります。
補助要件
次世代建材の補助事業の要件を概略すると、以下の通りとなります。
■補助要件(次世代建材)
- 補助対象製品を用い、事業要件の詳細に従った既存住宅の断熱改修を行う。
- 補助事業に係る建物本体(一連の工事を含む)の工事は、本事業の交付決定通知書に記載の交付決定通知日以降に契約・工事着工する。
- 補助事業実績報告書を提出期限内に提出する。
など・・
「事業要件の詳細」では、具体的な改修方法が示されており、これに従って断熱改修を行うことが必要になります。
また、前述のとおり、断熱パネルまたは潜熱蓄熱建材導入の工事を行わなければ、「断熱材」、「窓」、「玄関ドア」、「ガラス」、「調湿建材」にかかる工事が補助対象とならない点に注意が必要です。
なお、ここで「事業要件の詳細」に示されている基準のうち、要点について列挙します。
性能・施工の要件 抜粋
① 断熱パネル
- 室内側から施工すること。壁の外側、天井裏、床下から施工するものは対象となりません。
- 施工範囲に居室又は玄関、トイレ、浴室洗面脱衣所のいずれか一室を含むこと。また、その部屋の外気に接する壁、天井、床の少なくとも1部位1面に施工すること。
など。
② 潜熱蓄熱建材の設置
潜熱蓄熱建材を設置する工事であり、以下の要件を満たすこと。
- 原則、施工範囲に居室を含むこと。
- 居室等の床面積あたりの蓄熱量が192kJ/㎡以上となるように施工することなど。
- 施工された製品の総厚みが25mm以内であること。
- 以下のA)~C)のいずれかに該当する居室等であること。
- A) 断熱性能等級4であるなど、平成11年省エネ基準以上の断熱性が確保された居室等
- B) 本事業において壁・天井・床の1面以上と窓及びガラスを断熱改修する居室等
- C) 過去の高性能建材にかかる補助事業等(指定のものに限る)で壁・天井・床の1面以上と窓及びガラスを断熱改修した居室等
以下の改修工事は、①または②の工事を実施する場合に限り、補助対象とできます。
③ 断熱材
- SIIに登録されている断熱材で、グレードがD1製品であること
- 施工部位は床、天井のみとし、壁面への導入は対象外
④ 窓
以下の内、いずれかの改修方法であること。
- カバー工法用による窓の取り付け
- 外窓交換(防火仕様に限る)
- 内窓取り付け
⑤ 玄関ドア
玄関ドアの設置であること。
⑥ ガラス
- ガラスのみを交換すること
- 既存の窓、ドアフレームは、木製もしくは樹脂製、又は木と金属の複合材料もしくは樹脂と金属の複合材料製であること。なお、既存の窓、ドアフレームの材質により導入できるガラスが異なるのでSIIホームページの補助対象製品一覧で確認すること。
⑦ 調湿建材
- 室内側から施工すること。
- 吸放湿を妨げない適切な内装仕上げとすること(吸放湿を妨げる塗装や透湿しないシート等を上張りしないこと)。
審査・選考
到着順に審査を行い、随時採択します。ただし、補助事業公募期間内であっても住宅区分ごとの予算に達した日の前日を以って公募を終了し、予算に達した日以降に到着した申請分は原則受付不可なので注意が必要です。
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その他Q&A
想定される質問について主なものをまとめます。
- 交付決定前に断熱改修工事をした場合、補助金はもらえますか?
- 交付決定通知書に記載される交付決定通知日よりも前に契約・着工したものは、要件不適合となり、補助金は受けられません。
なお、契約・着工とは断熱工事のみを指すのではなく、断熱改修を行うのに要する仮設工事(撤去・足場工事等)の契約・着工を指しますので注意しましょう。
つまり、断熱材を工事するために仕上げの石膏ボード等を撤去する、あるいは、窓を取り換えるために必要な足場を設置する工事の契約・着工を交付決定前にしてしまうと、それは事前着手となり、補助金は受けられなくなります。
- 材料や業者さんに指定はあるのですか?
- 建材・設備については、SIIにあらかじめ登録を受けた製品であるなど、公募要領に定める要件を満たす必要がありますが、依頼をする工事業者さんについては、前述のとおり指定はありません。
- 他の補助金との併用はできますか?
- 補助金制度の併用自体は禁止されていません。ただし、一つの工事で2つの補助金を得る、つまり、補助金の2重取りはできないことになっています。
つまり、断熱工事を一方の補助対象工事に含めた場合は、もう一方の補助申請ではその工事を補助対象工事から外さなければいけません。(補助対象経費には、国からの他の補助金(負担金、利子補給金並びに補助金適正化法第2条第4項第1号に掲げる給付金及び同項第2号に掲げる資金を含む)の対象経費が含まれないことが要件となります。)
次世代住宅ポイントなどの国の他の補助事業に申請を予定している場合などは注意しましょう。
どの補助制度を利用すれば補助金を最大限活用できるか・・・依頼する工事業者さんと相談しながら補助制度を上手に選択しましょう。
なお、省エネ関連の補助制度については以下に整理していますのでご活用ください。
省エネ関連の補助金・減税制度についてまとめています。住宅の省エネを推進するための誘導策として定められた制度であり、一定の省エネ性を有することで補助金や税の軽減を受けられます。補助金・減税は省エネ対策が厚遇されており、国の住政策の柱の一つになっていますので、活用できるものはもれなく活用しましょう。