↓ 最新の長期優良住宅化リフォーム推進事業については以下をご覧ください。
平成31年度事業に引き続き、令和2年2月、補正予算によって、子育て世帯向け改修などの補助対象の拡充とともに、長期優良住宅化リフォーム推進事業の新たな募集が開始されました。ここでは、制度概要についてわかりやすく紹介します。
「耐久性があり、地震に強く、省エネ性が高く、維持管理がしやすい」住宅への長期優良化リフォームに対する補助制度(2020年度)の概要をわかりやすく解説します。一定の要件のもと、三世代同居改修や、子育て世帯向け改修、一般的なリフォームなどにも幅広く補助される制度ですので、リフォームをお考えの際は是非とも活用をご検討ください。
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この補助金制度は、住宅を長く大切に使うためのリフォームをする・・・つまり、「耐久性があり、地震に強く、省エネ性が高く、維持管理がしやすい」住宅にリフォームする場合、その工事費等の一部に対し国が補助するものです。今年度についても予算措置され、従来と同様に実施されることとなりました。
ここでは、この制度を短時間で理解していていただけるよう、制度概要とリフォーム事例をわかりやすく紹介します。リフォームで住宅を長く大切に使いたい、さらに、親との同居リフォームも考えているといった場合は、活用を検討してみましょう。
■長期優良住宅化リフォーム 要点解説 もくじ
2019年度の長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要
平成31年度事業との主な変更点
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、インスペクション(有資格者による建物調査)、性能の向上を図るリフォームや三世代同居等の複数世帯の同居への対応に資するリフォーム、及び適切なメンテナンスによる既存住宅ストックの長寿命化に資する優良な取り組みに対し、国が事業の実施費用の一部を助成するものです。
主な要件・補助額(戸建て住宅)
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補助メニュー別のリフォームイメージ
3つの補助メニューそれぞれの主な特徴、活用イメージは以下の通りです。
補助要件の解説
次に、補助事業の要件について、具体的に見ていきましょう。
リフォーム後の一定の性能基準とは
リフォーム後において満たすべき性能基準を以下に示します。補助を受けるためには、劣化対策、耐震性、省エネ性、維持管理・更新の容易性の建物の長寿命化のための性能項目について、以下の基準を満たす必要があります。
■リフォーム後において満たすべき性能基準のイメージ(戸建住宅の場合)
※1 若者(平成31年4月1日において40歳未満である者)が既存住宅の購入から1年以内にリフォーム工事に着手する場合は、この要件は不要。(劣化対策、耐震性のみ評価基準に適合すれば良い。以下同じ。)※2 一次エネルギー消費量が省エネ基準比20%削減。
―認定基準 評価基準とは―
上図における、認定基準、評価基準とは以下をいいます。
- 認定基準:長期優良住宅(増改築)認定を取得するための基準
- 評価基準:上の認定基準に準ずる基準(認定基準に満たないが一定の性能確保が見込まれる水準)
なお、リフォーム前に性能項目の基準を満たしている場合は、その性能の工事の実施は必須ではありません。
■各性能項目の基準
上図における劣化対策、耐震性、省エネ性、維持管理容易性、それぞれの基準の概略は以下の通りです。
図:2019概要資料(長期優良住宅化リフォーム推進事業事務局)より
工事の要件
補助を受けるためには、リフォーム工事の内容が以下のいずれかの工事である必要があります。
- 劣化対策、耐震性、省エネ性、維持管理容易性のいずれかを評価基準等に適合させるための性能向上工事
- 三世代同居対応改修工事
インスペクション
補助を受けるには、リフォーム工事に先立って、インスペクションを行う必要があります。インスペクションとは、床・壁の傾きや雨漏り、白アリの被害など、日常生活上に支障があると考えられる劣化事象の有無を把握するための専門家による現況調査をいいます。
インスペクションで劣化事象が見つかった場合は、今回のリフォーム工事と同時に補修を行うか、維持保全計画に点検・補修等の対応方法と対応時期の明記が必要です。
リフォーム履歴・維持保全計画の作成
補助を受けるには、リフォーム工事の履歴として、工事内容を示す図面、工事写真等を作成し、保存することが必要です。また、住宅を長持ちさせるため、維持保全の期間(30年以上)について、少なくとも10年ごとに点検を実施する維持保全計画を作成することが必要です。
補助対象の工事費用・補助率
次に、補助対象となる費用について説明します。補助対象費用は、大きく分けて以下の3つがあります。
補助対象費用の具体的イメージ
上の長期優良住宅化リフォームと三世代同居対応改修工事費の具体的なイメージです。
図:2019概要資料(長期優良住宅化リフォーム推進事業事務局)より
補助対象外費用
■間取り改修、内装工事、設備改修
これらの改修は補助対象外となります。
■単なる外壁改修・屋根改修
これらは補助対象外ですが、インスペクションで指摘を受けた場合は、その他の性能向上工事として補助対象にできる場合があります。ただし、耐震改修や省エネ改修などの特定性能向上工事を行っている場合に限ります。
外壁改修・屋根改修のみでは補助対象にならない
補助対象とできるその他の性能向上工事の費用は、特定性能向上工事の費用以下であると定められています。つまり、リフォーム前にすでに性能基準を満たしている場合で特定性能向上工事を行う必要がない場合、インスペクションで指摘を受けた外壁改修・屋根改修などのその他の性能向上工事のみを行っても補助の対象になりません。(下部の事例参照)
事業のスケジュール(予定)
※申請状況に応じて、期間の短縮・延長などの変更が生じる場合があります。
補助制度総括表
以上、この事業の詳細を、タイプ別に比較表としてまとめます。
■各事業の要件・補助額のまとめ(通年申請タイプ・木造戸建住宅)
事業タイプ | 評価基準型 | 認定長期優良住宅型 | 高度省エネルギー型 |
---|---|---|---|
長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められるもの | 長期優良住宅(増改築)の認定を受けるもの | 認定長期優良住宅型のうち、更に省エネルギー性能を高めたもの | |
補助対象費用 | ・長期優良住宅化リフォーム工事に要する費用 ・三世代同居対応改修工事に要する費用 ・インスペクション等にかかる費用 | ||
補助率 | 1/3 | ||
補助限度額 | 100万円 (150万円)/戸 | 200万円 (250万円)/戸 | 250万円 (300万円)/戸 |
( )は三世代同居対応改修工事を実施する場合(別枠で上限50万円の補助) | |||
補助要件等 | 住戸の規模:55㎡以上(1階40㎡以上) | 住戸の規模:原則75㎡以上(1階40㎡以上) | |
評価基準に適合 <必須項目> ①構造躯体等の劣化対策 ②耐震性 <選択項目> いずれか一つに適合(※1) ③省エネルギー対策 ④維持管理・更新の容易性 | 増改築認定基準に適合 | ||
― | 一次エネルギー消費量が省エネルギー基準比20%削減 | ||
・リフォーム工事前にインスペクションを行い、リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること。など | |||
※1:若者(平成31年4月1日において40歳未満である者)が、購入から1年以内にリフォーム工事に着手する場合は、この要件は不要。 |
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補助金利用のリフォーム事例
次に、補助金が受けられるかどうかの判断をしやすくするため、いくつかのケースを紹介します。お考えのリフォーム計画が補助を受けられるかどうか・・・あるいは、工事をどこまで行うかを検討する際の参考としてください。
長期優良住宅化リフォームの事例(評価基準型)
ケース1 省エネ改修と屋根・外壁改修全てが補助対象となるケース
■リフォーム内容
※開口部を断熱改修し、傷んだ屋根の張替えと同時に、雨漏りで劣化した天井断熱材を改修。
①省エネ改修
- 外部の窓・ドアの改修(高断熱製品への取り替え)
- 屋根(天井)の断熱改修
②屋根・外壁改修(インスペクションの指摘によるもの)
- 屋根の張替え
- 外壁の塗装
リフォーム前後の性能比較(評価基準型の場合)
補助対象工事の判定
①省エネ改修
- 評価基準を満たす性能向上工事
→特定性能向上工事
②屋根・外壁改修
- インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事→その他の性能向上工事
補助事業要件、補助対象工事どちらもクリア!
このように、省エネ改修によって評価基準を満たすための性能向上工事…つまり、特定性能向上工事を行うことによって、補助事業の性能要件(必須+選択項目)をクリアすると同時に、その工事自体を補助対象にできるケースです。
では、次に、省エネ改修は行うが、評価基準に届かない場合について見てみましょう。
ケース2 省エネ改修が補助対象とならないケース
■リフォーム内容
※開口部を断熱改修するが、屋根・外壁の断熱材までは改修せず、塗装のみを行う。
①省エネ改修
- 外部の窓・ドアの改修(高断熱製品への取り替え)
②屋根・外壁改修(インスペクションの指摘によるもの)
- 屋根の塗装
- 外壁の塗装
リフォーム前後の性能比較(評価基準型の場合)
補助対象工事の判定
①省エネ改修
- 評価基準を満たさない性能向上工事
→その他の性能向上工事
②屋根・外壁改修
- インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事→その他の性能向上工事
特定性能向上工事を行わなければ補助の対象にならない
このように補助事業の性能要件(必須+選択項目)をクリアしていても、特定性能向上工事を行わなければ補助対象の工事として認められないということを押えておきましょう。つまり、省エネ改修によって単に性能が向上するだけではなく、評価基準を満たさなければ、全てが補助の対象にならないということです。
補助対象工事とするには
このケースは「外部の窓・ドアの省エネ改修をしたいが、断熱材までは替えなくてもいい」という事例ですが、省エネ改修の場合、開口部改修だけでは評価基準を満たすことができず、特定性能向上工事になりません。
評価基準を満たすためには、断熱材の改修や高効率設備の導入などと組み合わせて行う必要があります。評価基準については以下をご参照ください。
概要資料-長期優良住宅化リフォーム推進事業事務局
なお、基準は一般の方には理解しにくいので、くわしくは、リフォーム業者さんと相談するのがよいでしょう。
この評価基準を満たすことで、省エネ改修工事が特定性能向上工事となり、ケース1と同様、屋根・外壁改修とあわせて補助対象工事とすることができます。
三世代同居改修の事例(評価基準型)
ケース3 三世代同居改修のみ行う場合
■リフォーム内容
※親世帯と同居のため部屋を増築、キッチン・トイレを増設し、設備・内外装をリニューアル。
①増築工事
- 親の居室を増築
- 増築部屋にキッチンを新設
②設備改修工事
- 既存部分にトイレを増設
- 既存のキッチン、ユニットバスを交換
③屋根・外壁改修(インスペクションの指摘によるもの)
- 屋根の塗装
- 外壁の塗装
リフォーム前後の性能比較(評価基準型の場合)
リフォーム前後の設備数の比較
補助対象工事の判定
①増築工事
- 親との同居のため居室を増築
→補助対象外 - 増築部屋にキッチンを新設
→三世代同居対応改修工事
②設備改修工事
- 既存部分にトイレを増設
→三世代同居対応改修工事 - 既存のキッチン、ユニットバスを交換
→補助対象外
③屋根・外壁改修
- インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事→その他の性能向上工事
三世代同居対応改修工事のみでも補助は受けられる
このように、特定性能向上工事を行う必要がなく、三世代同居対応改修工事のみを行う場合であっても、補助を受けることができます。(この場合の補助上限額は50万円となります。)
なお、三世代同居対応工事の補助対象はキッチン等の増設であり、既存のキッチン、ユニットバス交換は増設ではないので補助対象外となります。また、部屋の増築工事も補助対象外です。さらに、その他の性能向上工事は、前述の通り、特定性能向上工事を行っていないため補助対象外となります。
この事業のメリット
補助金が受けられるメリット以外にも以下のようなメリットがあります。
1.インスペクションのメリット
リフォーム前のインスペクション(専門家による建物現況調査)により、住まいの腐朽、雨漏り箇所、傷みなど、劣化状況を把握・補修できます。
2.構造体の劣化対策、耐震性確保のメリット
構造体が長持ちし、かつ、耐震性が確保され、長く安心して暮らせます。
3.性能向上のメリット
断熱性の向上により、快適性の向上、光熱費軽減が期待できます。
給排水管の日常点検や清掃、交換がしやすくなります。
4.工事・事業者の客観性のメリット
自称「高断熱、高耐震」ではなく、リフォーム内容や工事結果について、一定の基準で審査されるため安心できます。
また、この事業を実施しようとする事業者はHPで公開(2019長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室事務局)され、建設業許可等の有無、住宅瑕疵担保責任保険法人への登録(リフォーム瑕疵保険)の有無、国に登録されている住宅リフォーム事業者団体(下記参照)への加盟の有無を住宅会社ごとに確認することができ、一定の安心のもとリフォーム会社を選べます。
この制度で国土交通省に登録されているリフォーム事業者団体は以下で確認できます。
住宅リフォーム事業者団体登録制度とは | 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
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手続き等について
誰が申請するの?
補助金の申請ができるのは工事施工業者などの業者さんなので、補助金を受領するのも業者さんになります。ただし、最終的には家主となるリフォーム工事発注者や、リフォーム済み住宅の購入者が補助金の還元を受けることとなります。
補助要件や手続きの細部の理解は一般の方には複雑難解なので、業者さんにまかせるのが通常です。発注者は制度の概要把握に努め、この補助制度にしっかりと対応できる業者さんであるかどうかを確認してから依頼先を判断しましょう。
手続きの流れ
手続きについて基本的な流れについて説明します。
-
事業者登録
事業者の名称、所在地、問合せ先等の他に、建設業許可の有無、登録住宅リフォーム事業者団体への加入の有無、リフォーム瑕疵保険の登録事業者の該当の有無を明らかにして、本事業ホームページで公表
-
住宅登録
リフォーム工事を実施する住宅が決まったら、住宅の所有者(施主)や住宅の所在地等の情報を登録(登録情報は非公表)
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着工
住宅登録に際して、交付決定されなければ補助金の交付対象とはならないことを確認した上で、リフォーム工事に着手可能
-
補助金交付申請
-
補助金交付決定
-
完成・引き渡し
-
完了実績報告
-
補助金の額の確定・振込
よくある質問
- 断熱改修をするのですが、補助の対象となりますか?
- 省エネルギー対策で一定の基準を満たすための性能向上工事は「特定性能向上工事」として補助の対象となります。
しかし、性能は向上するが一定の基準を満たさない場合は、「その他の性能向上工事」となり、その工事のみ行う場合は補助の対象となりません。
※その他性能向上リフォーム工事費に係る補助金の額は、特定性能向上リフォーム工事費に係る補助金の額を超えない額である必要があるため、特定性能向上リフォーム工事を行わない限りそれが補助対象となることはありません。
- 増築は補助対象となりますか?
- 原則、増築は補助の対象となりません。
ただし、増築部分に調理室等を増設する場合は、その増設費用(増築に係る躯体工事費は含まない)に限り三世代同居対応改修工事として補助対象とできます。
- 間取り変更や内部改修は補助対象となりますか?
- 性能向上工事等と連動・付随しない個人の嗜好に基づく間取り変更、天井・内壁・床材の内装工事などは補助の対象となりません。
- どの業者さんに依頼してもいいのですか?
- 業者さんの限定はありません。
なお、業者さんは、申請に先立って補助事業者として事務局に登録することとなっており、その情報が公開されています。
参考:事業者情報の公表(2019長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室事務局) - 三世代同居の親子の要件や同居時期の制限は?
- 補助の要件は工事の実施内容について規定しており、三世代の定義や、世帯構成、同居時期などは問われていません。
- 三世代同居改修工事の対象となる住戸は各世帯が独立していてもよいか?
- 住戸の内部で自由に行き来できなければ補助の対象となりません。