水回りが格段と使いやすくなりますのでぜひ覚えてください。
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家事動線と家族の生活動線が分かれていると動きやすい
台所、洗面、浴室、トイレなどの水回りはできる限り1か所にまとめ、家事動線を短くするのがプランニングの基本になりますが、さらに、家事動線と家族の生活動線を分けることで家族間同士のすれ違いが緩和され、使いやすさが大きく向上します。
それでは、動線を分離しない場合と分離した場合の計画の具体例を見ていきましょう。
家事動線と生活動線が交錯するとすれ違いが多くストレスを感じる
まずは、動線が分離されておらず、交錯が生じる例を見てみましょう。なお、ここでいう家事動線、生活動線とは以下を指します。
- 家事動線
調理、洗濯、掃除を行うための主婦(主夫)の移動経路 - 生活動線
家族が利用する洗面・化粧、排せつのための移動経路
水回りの家事動線と生活動線が重複する例
水回りは1か所にまとまっており、家事動線は短いのですが、家事動線と生活動線が交錯しているため、利用集中が起きた時に、使い悪さを感じてしまいます。
特に、共働き家庭の場合などは、朝から料理、洗濯、清掃、洗面、排せつと、家族全員が一斉にこの水回りに集中します。そして、子供が小さいうちはあまり気になりませんが、成長し年頃になってくると洗面室の滞在時間がだんだん長くなってきます。
1か所の出入り口を行ったり来たりしながら洗面化粧台とトイレを奪い合う状況に、さらに家事を担う主婦の動線が重なる・・・これが毎日続くと、やはり多少のストレスを感じざるをえません。
この問題を回避するには、起きる時間を変えて、利用時間帯をずらすなどの工夫が必要ですが、間取りの工夫でこれを大きく改善することができます。
家事動線と生活動線を分けるとどうなるか
次に、水回りが集約され、さらに家事動線と生活動線を分離し交錯を緩和した計画の例を見てみましょう。それぞれの移動経路を確保することで、より使いやすさを向上させることができます。
水回りの家事動線と生活動線を分離した例 その1
家族同士が狭い空間ですれ違う回数を減らせることがイメージできるのではないでしょうか。この動線交錯が緩和されることで、動きやすさが感じられるようになります。
水回りの家事動線と生活動線を分離した例 その2
この計画は、リビング空間とトイレの(音やにおいの)遮断性も良く、キッチンも両側から抜けられるところが良い点として挙げられます。
家事動線と生活動線を分けるときの計画のポイント
計画のポイントは2つあります。
- キッチン、洗面室(ユーティリティー[※])に出入り口をそれぞれ2か所設ける
1つはキッチンと洗面室(ユーティリティー)をつなぐ出入り口とし、もう1つは全く異なる方面に出入り口をそれぞれ設けることで、いわゆる回れる間取りとなり、複数動線が生まれます。 - トイレの位置を家事動線から緩やかに外す
トイレを洗面室の中に設ける場合もありますが、それでは、動線分離の効果が薄くなってしまいますので、生活動線の中心であるトイレを分けることが計画のポイントになります。
(なお、全く異なる場所にトイレを置くことでも動線分離という面では効果は同じですが、トイレは水廻りそして家事動線の一部でもあります。水回り集約によるメリットも生かしつつ、動線も分離できる位置関係が合理的といえるでしょう。)
[※]ユーティリティーとは本来、洗濯・アイロンがけなどを行う家事室(便利室)という意味がありますが、洗面室に洗濯機が置かれる場合は、その洗面室をユーティリティーと称するケースがあります。
さらに、冷蔵庫までの経路も家族の生活動線になりますので、家族が利用しやすい位置に配置するとなお良いでしょう。
家事動線と生活動線の分離 まとめ
水回りを集約すると、配管コストを抑制できるだけでなく、家事動線を短くできるというメリットがあります。そこに、この生活動線の分離を加えることで、水回りの使い良さをさらに向上させられるのがお分かりいただけたと思います。
家族人数が多い場合などはできる限り取り入れたいテクニックです。
■ デメリットもあります
回れる間取りは使いやすさのメリットがある一方、移動経路を増やすため、それにより坪数が増えるという反作用があることを知っておきましょう。(回れる間取りの副作用について詳しくはこちら)
通路などの移動経路を省き、居住スペースを効率よくコンパクトにまとめることでコストカットを優先するという考えもありますので、どちらを取るかは家主さんの考え方次第ということになります。
使いやすさを得るには、それなりに費用が掛かるということですね・・・。