「金利上昇の今こそ完全固定ローン」という情報は、はたして絶対か?

住宅ローンは固定金利を選択することが、今や間違いのない選択であるかのような風潮が強く感じ取れる情勢です。住宅ローンで固定金利を謳う商品は、「35年完全固定」「変わらない安心」とのフレーズで、大々的・戦略的に広告されています。

固定金利は、金利上昇局面では確かに有効な選択肢なのですが、経済の変動に追従しづらい、遊び・自由度の少ないカタブツになる可能性もあることを理解しておかなければいけません。

金利タイプ決定の基本原則は
・金利の上昇局面では「固定金利」中心
・金利の下降局面では「変動金利」中心
です。

フラット35の利用者がここ最近、急に増えたのは、金利の先高感が顕在化したことによる結果です。まさに、上記基本原則にのっとった選択行動なのです。ということは逆に、金利が下がり続けていた時代には、当該原則からすると、長期固定金利は「タブー」だったことも分かります。下がり続ける金利を目先に、住宅ローン固定金利の功罪が、「過払いリスク」となって表面化したからです。

今後30年にわたり、間違いなく金利が上昇するなら、住宅ローンは固定金利で決まりです。しかも長期の完全固定。ですが、上昇トレンドはあるものの、金利上昇が35年続く保証はなく、様々な経済変動が予想される中、完全長期固定に待ったをかける意見も当然あります。

金利動向を常にウォッチングできる人で、最低でも週に1回くらいは長期金利の動きをチェックすることが苦にならない人であれば、固定金利特約期間の変更、変動から固定への切り替えなど、あまりコストがかからなくても条件変更ができて、その時点で金利水準の低いローン商品を選択することも可能でしょう。そして、その後の金利動向に合わせて機動的に対応していくのがベターだと考えることもできます。

35年先のことは誰にもわかりません。自分が払う金利は、変動する経済情勢にマッチさせ、その時点でのベストを選択していくという考え方も当然ありなわけです。

金利情勢などを注視する余裕などない、仮に結果的に利息の過払いがあっても、それは返済額が変わらないという安心を買った対価だと捉え、住宅ローンは固定金利で決まりという考えも当然ありでしょう。

要は、みんなが言っている、みんなが選んでいるという選択の仕方ではなく、一意見に流されず、自分に合うかどうかで決めることが大切なんですね。