新築の家に住んで間もないのですが、いろいろな不具合がでているので欠陥住宅ではないか不安です。ですが、そもそも欠陥住宅とはなんなのでしょうか?
欠陥とは、住宅としての重要な性能(構造、防耐火、健康など)や使用機能を欠いたものをいい、簡単な補修等で対応できるものは通常、欠陥とはいいません。
欠陥住宅の具体例
欠陥住宅の意味を知らないと話がかみ合わない
「欠陥」という言葉は「生産者の重大な過失」という意味に直結する言葉であるため、問題が起こった現場では、「欠陥」かどうかを争う場面がたびたび訪れます。
「いや、欠陥とまでは言えない!」
全てを欠陥扱いして建築業者に抜本的な解決を求める建築主と、起こった不具合の解消だけで済ませようとする建築業者・・・この両者のやりとりは、トラブルの現場ではよく見かける光景です。
欠陥住宅問題を解決する上では、欠陥扱いすべきことと、軽微な問題を区別して扱わないと、エネルギーを消耗してしまいます。
施主と業者の交わらない平行線の主張を結び合わせるもの・・・それは、欠陥とは何かということの共通認識です。特に、施主は建築に関しては素人の方がほとんどですので、このあたりを理解することは難しいといえるでしょう。業者のわずかな不作為も大きく見えてしまい、全てが信用できなくなってしまうものです。
しかも、客観的な専門家の意見を聞ける状況にあったとしても、ケースにより様々な要因が関連する場合もあり、また、原因が突き止められなかったりと、専門家でもなかなか、竹を割ったように説明できないのが欠陥問題の難しいところです。
ここでは、具体的事例を通して、欠陥とは何かということを見ていくことにしましょう。
そもそも住宅の欠陥とは何なのか?
欠陥住宅という用語は、通常、重大な問題がある住宅の総称として用いられていますが、法律上明確な定義はありません。そもそも、欠陥住宅と呼ぶかどうかに重要な意味があるわけではなく、生じた不具合の過失の割合が、住宅生産に関与した者それぞれにどれだけあるかが重要なのです。
しかし、軽微な問題と区別されることなく、無秩序に欠陥住宅という言葉が用いられるのは、社会的な便宜性を欠きます。「欠陥」という言葉は、高額な住宅の価値そのものを根底から無にしてしまう印象を与える言葉であるため、扱いにはある程度デリケートさが必要なのです。
欠陥に対する認識が個人の主観や、施主・業者などの立場によっても大きく変わるようでは、紛争解決がより困難なものとなるため、ある程度の具体性・客観性をもった定義化が必要となってきます。
欠陥住宅とは、一般的に、
住宅のことを指すと考えられています。概ね、重大な不具合に該当するかどうかで判断すればよいでしょう。
また、欠陥には、以下に示すように、具体的な症状・弊害がでているものと、症状はないが、見えない部分で基本性能を失っており、将来の不具合発生が予見されるものとに分けられます。
欠陥の具体的事例 | |
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症状が出ているもの | ・雨漏りがする ・床が著しく傾いている ・基礎が局部的に大きく沈んでいる ・断熱、気密材の施工不良による著しい結露の発生 ・壁、柱が傾斜している ・給気口の位置が悪く、24時間換気量が不足している居室がある |
症状はないが、将来の問題発生が予想されるもの | ・地震に耐える部材の筋かいが不足、接合金物が適切に設置されていない ・地震に耐える部材の構造用合板の規格や、打ち付ける釘の材料、長さ、打ち付け間隔が基準に適合していない ・土台などに防腐防蟻措置がされていない ・基礎の鉄筋のコンクリートのかぶり厚さが足りない ・基礎の根入れ深さが、地盤の凍結深度に達していない ・外壁の準防火構造の認定仕様で定められた材料以外の断熱材が使用されている |
一方、以下のような、簡便な補修等で済むものは、通常、欠陥とは呼びません。
軽微な不具合の具体的事例 | |
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・内壁のクロスのはがれ ・基礎のヘアクラック(細いひび割れ) ・乾燥による建具の建て付けの不具合 |
欠陥住宅とは、もっと簡単に言えば、「あってはならない不具合のある住宅」をいい、通常起り得る不具合は欠陥とは呼ばないと理解するのが一般的でしょう。